情報アクセスと知的処理 (1)

概論

本日のゴール

• 情報アクセスと知的処理の概要を知る
  • 情報アクセスとは
  • 知的処理とは
  • 情報アクセスのさまざまな手段

情報アクセスと知的処理

情報アクセス？

• 何らかの方法によって情報を入手すること
• 代表的な方法: 検索 (情報検索)

知的処理？

• intelligentな(賢い)処理 ... 人工知能的
• ex. 言語理解: 意味を理解して検索
• ex. 個人化(personalization): 個々人に最適な内容を推薦

どちらも人工知能関連の学問分野。

人工知能(1)

人工知能関連の学問分野

一般に思われているよりも非常に広い。

• 人工知能学会
  • 2018年度全国大会タイムテーブル

機械学習が適用できない分野も。

人工知能(2)

人工知能ブーム

いまは第3次 人工知能ブームと呼ばれている。

• 技術的進展: 機械学習の一手法である深層学習(Deep Learning)
• 背景: GPUによる高速計算, ビッグデータを扱う仕組み
• ブームは本物か?
  • 実用になっているので一過性のものではない。
  • 応用についてのノウハウは蓄積中といったところ。

人工知能を活用する企業が有利に

人工知能(3)

人工知能と職業

世の中のイメージ

• 人工知能によって、いま行われていることが自動化される。
• 人間と同じことができるようになる。
• 特定の分野(例: 囲碁)では人間を超える。

→ 人間要らなくなるのでは？

当面は、人工知能を活用することのできるエンジニアが求められる。

• 判断が必要な場面で、人間よりもよい判断ができるようになる(可能性がある)
  • 全産業: 金融、医療、運輸、農業、政治、軍事, etc.
  • 大学入試、企業の採用, etc.

人工知能(4)

人工知能と業界

理系の学生が就職しそうな業界の中で

• 人工知能によって発展しそうな業界は？
• 人工知能によって人間が取って代わられそうな職業は？

対立概念ではないことに注意。

そもそも情報は必要？

情報の必要性

情報を入手した者が有利になる分野では、情報を持たない者は逆に不利になる。

求める情報にアクセスする困難さ

• 情報の絶対量は日々増えている。
• 人々の趣味嗜好は多様化している。

よい情報とめぐり会うには、情報技術によるサポートが必要

情報アクセスの歴史

• インターネット以前: 図書館、専門家に依頼
• Web以前: メール、ftp
• 検索エンジン以前: リンク集、ディレクトリ
• 検索エンジン: Yahoo!, Google
• フィード: フィードリーダの利用
• ソーシャルメディア: フォローとタイムライン
• 情報推薦: おすすめアイテム、おすすめユーザ

情報アクセスのイメージ

• 検索エンジン: Google
• 対話システム: Siri
• ポータルサイト: Yahoo! JAPAN
• ニュースサイト: TV系, 新聞系, 雑誌系, IT系, ゲーム関係
• 通販サイト: Amazon, 楽天市場, ヤフオク, メルカリ
• 動画サイト: YouTube, ニコニコ動画
• Wiki的サイト: Wikipedia, Naverまとめ, togetter
• Q&Aサイト: Yahoo!知恵袋
• 掲示板: 2chとその亜種, 2chのまとめサイト
• ソーシャルメディア: twitter, facebook, LINE

何を求めて、どう得るのか、さまざまな種類がありそう。

情報アクセスのイメージ

情報が向こうからやってくることも

• メールがやってくるのも情報アクセス
  • 通常のメール、各種お知らせ、メールマガジン、スパム...
• アラート機能: オークションなど
• Google Now の通知
• タイムラインに挿入される広告

情報配信の類型

push型

ユーザに無理矢理届ける

pull型

ユーザ側から取りに行く

特に広告の世界では重要な話題

参考: ターゲティング広告

行動ターゲティング広告

• 同一サイト内での行動分析
  • 閲覧ページ、検索キーワード等
• 複数サイト間での行動分析
  • 同一配信元の広告
  • ツイートボタン、いいねボタン

Suica とか Tポイントカードとか...

能動的/受動的な情報アクセス

• 探して取り出す - 能動的
  • 検索 (retrival) - 検索要求をシステムに与える
  • 目的とするタスクがある
• やってくるものから見つける - 受動的
  • 流れてくる情報を眺める
    • とりあえずテレビをつける
    • とりあえずニュースサイトを見る
    • とりあえずはてなブックマークの人気エントリを見る
    • フィードリーダで流れてくるものを見る
    • twitter のタイムラインを見る
  • 目的は日々の情報収集、ひまつぶし
  • フィルタリング (filtering) - キーワードなどで見るものを絞り込む

情報推薦

推薦 (recommendation)

ユーザの嗜好や能動的な動きから、何かを推薦する技術。

• 協調フィルタリング - Amazonなど

ユーザによって推薦される内容が異なるので、個人化 (personalization) の一種。

受動的にいい情報が得られるのであれば、能動的に探すよりも楽なので理想的？
なぜいいのかわからないという問題も。

cf. フィルターバブル

能動的 - 情報検索

検索要求(検索語など)を自分で考える。

検索要求はさまざま。

• 富士山の高さについて書いてあるWebページはどれ？ → Web検索
• 富士山の高さは何メートルかな？ → 質問応答システム（事実を扱う）
• 集団的自衛権の論点は何かな？ → 質問応答システム（議論を扱う）
• 自分が買うべきデジカメは？ → 推薦システム
• おじいちゃんは元気かな？ → 見守りシステム？
• 自分はいったい何者？ → 街の占い師？

Web検索は直接の解を与えない。もっと高いレベルの要求に応えたい。

検索以前の問題

検索 - ないものは探せない

• Webコンテンツがどんどんつくられれば可能性が広がる
• CGM (Consumer Generated Media) ユーザがコンテンツを容易に作れる仕組み

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• ソーシャルネットワーク、ソーシャルグラフ
• フレンド関係 双方向？
• フォロー 片方向

実世界の友達関係を持ち込むと、興味のないものを読むことになるのは必然。

フィルタリングや推薦が役立つ。

概論まとめ

• 検索ばかりではない。
• 検索の範疇だとしても、検索要求はさまざま。

多様な知的なシステムが求められている。