基本的な信号処理
ここでは、いくつかの基本的信号処理のパッチの例について解説する。Max/MSPの最も本質的な特徴は、
リアルタイムでの信号処理演算である。以下では、正弦波と基本的な変調波、またサブパッチの
使用法などについて記す。
- 正弦波
正弦波の合成は最も基本的な信号である。図は440Hzの正弦波を出力するパッチである。
cycle~の出力は黄色と黒の縞模様の結線となっている。この結線は黒の細い線による結線と異なり、
信号がリアルタイムで流れていることを示す。サンプリング周波数個のデータが流れている。
ここでは、振幅は1に制御されている。次に、amplutudeの左上の部分が0となっているが、
ここは0から1までの変数により、振幅(音量)を制御する。すなわち、cycle~からの信号とこの
数字ボックスとの積(*~コマンド)により、振幅が制御された信号が出力される。
dac~はDA変換器で、デジタル信号をアナログ信号に変換する。この信号のオン/オフ制御を
するのが、左側のメッセージボックスのstartとstopである。
Ver. 4.6
Ver.5
- 正弦波出力時の表記のヴァリエーション
次に同じ正弦波をもう少し便利な方法で制御してみよう。
音量をスライダーで変える、start/stopでなく、トグルで変える、dac~でなく、
スピーカーのマークの入ったGUIのコマンドボックスでDA変換を行なう、信号の出力を
グラフで見る、などの変更が行なわれている。
Ver.4.6
Ver.5.0
- リングモジュレーション(Ring MOdulation: RM)
これから3題は音合成の中で基本的な方式である、「変調方式」の基本を学ぶ。
まず、リングモジュレーションである。数式は図内にある。
Ver.4.6
(Ver.5 not available now)
- 振幅変調(Amplitude Modulation: AM)
これはRMと近い。同じく数式は図内にある。RMとAMはビブラートでいうと、音量が変わる
ビブラートである。
Ver.4.6
Ver.5
- 周波数変調(Frequency Modulation: FM)
同じく数式は図内にある。ビブラートでいうと音の高さが変わるものである。FMは非常に豊かな音が出る
基本的な方式として70年代に発案され*、80年代に普及した。
*注:FMは通信方式としては以前から知られていたが、音合成方式としてはごく最近になって応用、開拓された。
Ver.4.6
Ver.5
- サブパッチ
パッチを組むとき、ボックスなどの情報がある程度の数を超えるとパッチが大きくなりすぎ、
煩雑で醜く、操作もしにくい。他のプログラミング言語に関数があるように、パッチの下に階層的にサブパッチ
を置くことができる。これにより、常に一つのパッチを一定のボックスサイズに保つことができ、開発、
メンテナンス、操作等に便利である。
以下の例では、8つのハーモニクスを有す音を基本周波数(f0)と振幅を指定すれば、サブパッチで
調波構造を合成する、というデモを示す。
Ver.4.6
Ver.5
- サブパッチャーの中身の例
この例では、基音の1,2,...8倍までの整数倍の周波数の正弦波を合成し、これらの振幅を調波番号の逆数とし、
これらの信号を全て重ね合わせる(ミックス)ことで音合成するためのサブパッチを示している。
Ver.4.6
Ver.5
最
終更新時刻: Fri, 10th Sept. 2010 01:19:57 GMT